日本鼻科学会会誌
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原著
睡眠時無呼吸外来におけるアレルギー性鼻炎患者の検討
徳留 卓俊五味渕 寛池田 賢一郎川口 顕一朗嶋根 俊和金井 憲一三邉 武幸
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2013 年 52 巻 1 号 p. 13-17

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抄録

アレルギー性鼻炎と閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome: OSAS)の関連性について検討した。対象は平成21年1月から平成23年9月に当院睡眠時無呼吸外来でOSASと診断された患者のうち季節性アレルギー性鼻炎患者を除いた112名で,アレルギー性鼻炎群53名とアレルギー性鼻炎なし群59名で比較検討した。OSAS患者に占めるアレルギー性鼻炎(季節性を含む)患者の割合が59%と高いことが示された。また鼻腔通気度検査で測定した鼻腔抵抗は,吸気および呼気いずれも鼻炎群の方が鼻炎なし群にくらべ有意に高かった(それぞれp=0.012,呼気p=0.030)。ポリソムノグラフィー(polysomnography: PSG)の結果をもとに睡眠に関するデータを比較検討した。睡眠潜時は鼻炎群の方が鼻炎なし群にくらべ有意に延長していた(P=0.030)。今回の検討で,アレルギー性鼻炎とOSASには関連性があり,アレルギー性鼻炎は睡眠障害の一因となり睡眠状態や重症度をより増悪させる可能性があると示唆された。アレルギー性鼻炎を治療し鼻閉を改善することで,無呼吸重症度を下げ,睡眠の質を改善する可能性が示唆された。

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© 2013 日本鼻科学会
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