日本鼻科学会会誌
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原著
診断に苦慮した副鼻腔限局型多発血管炎性肉芽腫症例
雜賀 太郎兵 行義宇野 雅子森田 倫正原田 保
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54 巻 (2015) 2 号 p. 117-123

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抄録

多発血管炎性肉芽腫症granulomatosis with polyangiitis(以下GPA)は,以前はWegener肉芽腫といわれた疾患であり,全身の小血管の壊死性血管炎,諸臓器に壊死性肉芽腫性病変を来たす全身性血管炎症候群である。本疾患は腎臓に病変を認める全身型と,認めない限局型に分類される。初発症状は上気道症状を来たすものが多く,様々な症状を主訴に当科を受診する。今回我々は頬部痛を主訴に受診し,急速に進行する副鼻腔病変を来たし,診断に難渋した限局型GPAの1例を経験したので報告する。症例は57歳,男性。右頬部痛を主訴としてX年8月に近医を受診し,急性副鼻腔炎として抗菌薬にて加療されるも改善せず9月当科紹介となった。同診断のもとX+1年1月内視鏡下副鼻腔手術を施行した。上顎洞内は膿汁を認め,慢性副鼻腔炎の所見であり術後経過は良好であった。しかし,その後症状の再燃を認め,抗菌薬で加療するも改善せず,術後1か月の副鼻腔CTにて上顎洞上壁に骨破壊を認めたため,精査目的に再手術を施行した。前回とは異なり,上顎洞粘膜は壊死を伴う白色の易出血性粘膜病変であり,術後病理では悪性所見は認めず炎症のみであった。術後精査した結果,GPAの診断に至った。鼻症状を呈さず副鼻腔に限局するGPAのため診断に難渋したが,全身麻酔下組織生検により確定診断に至り,比較的早期に治療開始でき,良好な治療経過が得られた。

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