2016 年 55 巻 2 号 p. 141-146
髄膜腫は頭蓋内の良性腫瘍として最も発生頻度が高いが,頭蓋外の髄膜腫は稀である。今回我々は,前頭洞炎を疑って手術を施行し,術後病理が髄膜腫となった症例を経験した。症例は50歳女性。15年前に近医総合病院で左前頭葉髄膜腫手術を受け,3年前に前頭葉の残存病変に対しガンマナイフが施行された。同時期から前頭部の重苦感も自覚するようになり,半年前のMRIで前頭洞炎を指摘され,手術適応につき当院へ紹介となった。本人の手術希望があったため,前頭洞の精査・治療目的に内視鏡下鼻・副鼻腔手術(V型)を施行した。手術所見は前頭洞に炎症性と思われるポリープ様病変を認めたため,鉗子とマイクロデブリッダーを併用して病変を切除した。術後経過に問題を認めなかったが,病理が異所性髄膜腫の診断となった。鼻副鼻腔に発生した髄膜腫症例は渉猟しえた限り本邦で13例の報告しかなく,非常に稀である。鼻副鼻腔原発髄膜腫の再発率は7%~84%との報告があり,頭蓋内よりも再発率が高い可能性がある。今後十分な経過観察を行う必要があると考えている。本症例の髄膜腫発症機序は,前回の前頭葉髄膜腫手術で前頭洞後壁に骨欠損が生じて髄膜腫が前頭洞に到達し,その後骨欠損が骨新生して閉鎖し,前頭洞に残存した髄膜腫が再発した可能性や,前回の前頭葉髄膜腫手術により髄膜腫細胞が頭蓋外に残存し,その後のガンマナイフの侵襲により髄膜腫細胞が前頭洞へ到達した可能性を考えた。