日本鼻科学会会誌
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原著
拡大前頭洞手術における鼻腔形態温存と排泄路狭窄予防に用いる新しい粘骨膜弁anterolateral septal flap
御厨 剛史進 保朗橋本 誠藤井 博則梅野 博仁山下 裕司
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2017 年 56 巻 4 号 p. 608-618

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抄録

はじめに:Anterolateral septal flap(ALS flap)とは拡大前頭洞手術の際に鼻腔前方の側壁から天蓋をまたいで鼻中隔まで切開し採取するflapである。鼻腔形態を温存または被覆材料として用いることができるon demandな切開法で,本法を紹介する。対象と方法:2015年4月から2016年12月までに前頭洞単洞化手術施行例を対象とした。Draf IIbに前頭洞中隔開窓(Draf IIb with frontal septal window: FSW)またはEndoscopic Modified Lothrop Procedure: EMLP/Draf IIIを行った。全例にALS flapを使用した。結果:計9例,平均55.7歳,内訳は嚢胞2例,炎症7例であった。ALS flapの使用目的は8例が形態温存(closed method)で,外傷の1例のみ排泄路の被覆に用いた。全例に合併症は認めず,前頭洞陰影は改善した。closed例の鼻中隔と鼻堤形態は温存されていた。考察:closed Draf IIb with FSW例で患側に排泄路が形成されたものはなかった。closed EMLPではneo ostiumが残存した例が多く存在した。個々の換気排泄能で最終形態が決定されると考えた。まとめ:本法は拡大前頭洞手術時に有用な方法であると考えた。

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