日本鼻科学会会誌
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原著
スギ花粉症患者を対象としたモメタゾン点鼻液50μg「TK」56噴霧用の治療学的同等性試験
後藤 穣杉田 公美齋藤 晶洋本田 隆幸帆足 浩一郎宮﨑 隆
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2018 年 57 巻 1 号 p. 7-16

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抄録

モメタゾン点鼻液50μg「TK」56噴霧用(以下,TAC-203)は,ナゾネックス®点鼻液(MSD株式会社)(以下,標準製剤)のジェネリック医薬品として開発した薬剤であり,標準製剤と異なる製剤特性を有する。そこで,TAC-203の有効性及び安全性を適切に評価するため,日本の鼻噴霧用ステロイド薬のジェネリック医薬品開発では初となるプラセボ対照試験(治療学的同等性試験)を実施した。180例(TAC-203:72例,標準製剤:72例,プラセボ:36例)のスギ花粉症患者が登録された。主要評価項目である投与2週時の総合鼻症状スコアのベースラインからの変化量の差[TAC-203-標準製剤]の95%信頼区間は−0.427~1.112であり,事前に規定した治療学的同等限界(⊿=±1.13)の範囲内であった。有害事象の発現割合はTAC-203:6/72例(8.3%),標準製剤:9/72例(12.5%)であった。全身移行性を評価するため初回噴霧後1時間に血漿中モメタゾンフランカルボン酸エステル濃度を測定した結果,標準製剤が過去の臨床試験で設定していた定量下限(50pg/mL)を超える患者はいなかった。以上より,TAC-203と標準製剤の治療学的同等性が確認された。また,TAC-203の忍容性及び安全性は標準製剤と同様であった。

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