日本鼻科学会会誌
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原著
オスラー病患者の鼻出血を取り巻く環境に関する横断的調査
端山 昌樹米井 辰一前田 陽平赤澤 仁司武田 和也津田 武猪原 秀典
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2019 年 58 巻 1 号 p. 64-69

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抄録

オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)は全身に血管異常をきたすため様々な症状を呈するが,中でも鼻出血は有症率が95%以上と高いことが知られている。しかしオスラー病に伴う鼻出血に関して本邦では疫学的な調査は存在しない。オスラー病の鼻出血に対する治療の現状と満足度についてアンケート調査を行い,検討を行った。オスラー病患者を対象に,匿名で鼻出血の程度,鼻出血の予防法,鼻出血に対する治療歴,満足度,耳鼻咽喉科に対する要望などについて調査した。回答者は42名のうち,有効回答の得られた36名を検討対象とした。年齢中央値は53.5歳(17–83歳),性別は男性19名,女性17名であった。34名(94%)が週1回以上の鼻出血があると回答した。耳鼻咽喉科を受診したことがあると回答したのは30名(83%)であった。治療歴はガーゼ留置16名,焼灼術18名,皮膚粘膜置換術4名であったが,治療満足度は低かった。耳鼻咽喉科に対する要望の約6割が耳鼻咽喉科医の中でのオスラー病の知識の普及に関することであった。耳鼻咽喉科でもオスラー病に対する取り組みはなされているが,十分にオスラー病患者に評価されていないと考えられた。今後,耳鼻科でもオスラー病に対して積極的な取り組みが求められると考えられた。

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