日本鼻科学会会誌
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原著
舌下免疫療法のアレルゲン・剤型・維持量に伴う副反応による治療スケジュールへの影響
湯田 厚司神前 英明新井 宏幸清水 猛史
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2020 年 59 巻 4 号 p. 398-405

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抄録

舌下免疫療法では薬剤で維持量が異なり,アレルゲン量が増えれば副反応も多くなり,治療スケジュールに影響しえる。【対象と方法】各薬剤の最初の例から1年以内の治療開始例で,シダトレン®(CT群)207例,シダキュア®(CC群)69例とミティキュア®(MT群)82例の副反応と治療経過を検討した。MT群では翌年治療87例も追加調査した。【結果】CT群では全例が順調に最大維持量で治療した。CC群では1例(1.4%)が局所ピリピリ感で減量したが再増量でき,全例で最大維持量となった。MT群では20例(24.4%)が減量し,浮腫17例が原因を占めた。18例が再増量でき,97.6%が最大維持量にできた。翌年追加調査では減量例が12.6%と半減し,同等の97.7%が最大維持量にできた。副反応率はCT群40.6%,CC群56.5%,MT群62.1%であった。浮腫と咽喉頭不快感はアレルゲン増加で増え,MT群の局所浮腫は41.5%と高率であった。局所そう痒感はCC群とMT群に多く,CC群で耳そう痒感が21.7%と特に多かった。全副反応は重篤でなく,対応不要であった。【結論】アレルゲンが多いと副反応も高率であったが,スギ治療薬では全例で最大維持量にできた。ダニでは主に浮腫の副反応で一時的減量例も多くなったが,数%例を除いて最大維持量にできた。治療経験が増えると減量例も少なくなった。

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