日本農村医学会雑誌
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綜説
SARS感染対策のキーポイント
—SARSの疫学的特徴と感染予防対策の留意点—
賀来 満夫國島 広之金光 敬二
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2004 年 52 巻 5 号 p. 805-811

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抄録

SARSはいまだ迅速診断法や治療法, ワクチンによる予防法などが確立していないため, 疫学的特徴を確実に理解把握した上で, 感染予防対策を確実に実施していく必要がある。
SARSの感染伝播経路は飛沫もしくは接触であり, リスク要因としては, 2m以内の直接対面接触, 世帯内接触, 換気が悪い閉鎖空間, 汚物などの汚染物質・体液などとの接触, などが挙げられる。SARSの臨床症状としては, インフルエンザと同様に発熱や悪寒, 倦怠感, 筋肉痛, 戦慄, 悪心, 頭痛などの諸症状がみられるが, インフルエンザと比較して, 呼吸困難, 下痢が多く, 咽頭痛, 鼻汁が少ない傾向がある。また, SARSは症状とその伝播性には相関が認められており, 感染後2∼10日間の無症状な潜伏期は, 感染力がほとんどないと報告されているが, 発熱・咳嗽などに加えさらに呼吸困難 (息苦しさ) などの症状を呈した下気道症状期には感染性が高いと考えられている。
SARSの感染防止対策の要点としては, トリアージと交差感染の防止が挙げられる。
SARSが疑われる患者を, 他の患者との接触を最小限として優先的に診療するトリアージを確実に行うこと, アルコール製剤の使用などを踏まえた標準予防策の遵守, さらにマスクの着用などによる伝播経路の遮断に努めることで感染伝播を防止することは可能となる。

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© 2004 一般社団法人 日本農村医学会
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