日本農村医学会雑誌
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原著
大腸ガン検診の現況と問題点
—岐阜県の大腸ガン検診を顧みて—
山瀬 裕彦
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2004 年 52 巻 5 号 p. 812-816

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抄録

壮年期の健康対策として厚生省は老人保健法いわゆる老健法を制定, 昭和58年より第1次, 昭和63年より第2次5か年計画, そして平成4年から第3次8か年計画をたてた。大腸ガンについては対前年比の伸び率をゼロにすることを目標として, 第3次計画に大腸ガン検診を初めて導入, 受診率を徐々に上げて最終年度の平成11年度の受診率30%を目標とした。今後の検診活動を更に発展させる材料とするために, 岐阜県における第3次8か年計画に基づく大腸ガン検診の成績の推移を全国平均と比較し現状を分析した。岐阜県の大腸ガン死亡率が, 男性は全国平均並であるが女性は常に全国平均を上回り, 47都道府県中ワースト1であることも本研究を志すキッカケとなった。
平成11年度の受診者総数は, 平成4年度に比し約2倍に増加したがそれでも受診率は14.8%と目標の半分, 全国平均の15.3%を下回った。岐阜県全体でのガン発見率, 早期ガン率は全国平均と大差なく, 精度管理上大きな問題はないが, 岐阜県内の検便を委託された検査機関別の精度には若干のばらつきが見られた。大腸ガンによる死亡率を低下させるためには, 精検受診率を向上させねばならないが, 最も重要なことは検診受診率を上げることで, そのためには厚生労働省が有効と認めた検診に限り健康保険適応とすべきであることを主張したい。

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© 2004 一般社団法人 日本農村医学会
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