2006 年 55 巻 1 号 p. 30-34
保存的に加療した黄色肉芽腫性腎盂腎炎の2例を経験したので報告する。症例1は31歳の女性で糖尿病にて内科通院中に血尿を認め当科へ紹介された。各種画像検査では左腎上極に腫瘤を認めたが,膿尿,血沈の亢進,高γ-グロブリン血症,CRPの上昇などがあり生検を行なったところ黄色肉芽腫性腎盂腎炎と診断された。このため抗生剤の投与を継続し腫瘤の縮小を認めた。症例2は回腸導管のある86歳の男性で右背部痛および同部の手拳大の腫瘤にて紹介された。画像検査では右腎は巨大水腎症を呈し,その背側から皮下に達する腫瘤を認めた。血液検査では血沈の亢進,高γ-グロブリン血症,CRPの上昇がみられ,生検では黄色肉芽腫性腎盂腎炎と診断された。このため抗生剤を投与したところ背部の腫瘤は消失した。