日本農村医学会雑誌
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症例報告
Parallel neural networksに基づいたリハビリテーション介入
――基底核出血例への適用――
河村 章史吉田 慎一
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2007 年 56 巻 1 号 p. 34-38

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抄録

 大脳基底核は脳出血の好発部位でありその機能に関連した脳科学知見は急速に増大しているが,そうした知見がリハビリテーションに活かされることは未だ少ない。Parallel neural networks (彦坂,1999) は系列動作学習モデルであるが,そこで大脳基底核が重要な機能を担っている。今回,本モデルにおける大脳基底核の機能を参考にリハビリテーション介入を構築し,大脳基底核出血例へ適用した。初期には視覚確認しながら麻痺側上肢・手指各関節の空間座標系での運動学習を促し,その後閉眼して体性感覚を用いた運動座標系での運動学習へと移行した。運動座標系での学習が進んだ後,開眼で上肢・手指の他動運動を行ない,空間座標系と運動座標系の統合を促進した。約1か月半経過し手指の運動麻痺が著明に改善したが,上肢は改善が進まなかった。肩では初期の視覚確認が促しても十分に行なえず,それが改善の差となったと考えられた。

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© 2007 一般社団法人 日本農村医学会
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