日本農村医学会雑誌
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報告
マムシ咬傷35例の検討
重田 匡利久我 貴之工藤 淳一山下 晃正藤井 康宏
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2007 年 56 巻 2 号 p. 61-67

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抄録

 マムシは琉球列島を除く日本の全土に分布している毒蛇であり春から秋にかけて多くみられる。本邦では年間,約10名前後が死亡する1)。田畑や山中での被害報告が多く農村医療では重視される。平成11年から平成18年においてマムシ咬傷35例を経験し臨床像および治療とその経過について検討した。患者は7歳から80歳 (平均60歳) 男性17名,女性18名であった。全例に咬傷部の腫脹と疼痛を認めたが,全身症状は16例 (46%) に認め眼症状が高率であった。血液検査上の異常はCPK高値を24例 (69%) で認め重症度と相関していた。治療は切開排毒処置のうえ原則全例入院とし,独自のマニュアルを初期治療に活用した。治療の結果,症状改善傾向が認められるまでの中央値は3日であった。入院日数の中央値は7日であった。腫脹などの局所症状の消失には時間がかかり治療期間の中央値は31日間であった。受傷から受診までの時間により重症度に差を認め重症化した1症例では集中治療を必要とした。マムシ咬傷では迅速かつ適切な初期治療が必要であると思われた。

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© 2007 一般社団法人 日本農村医学会
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