日本農村医学会雑誌
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原著
薬剤師の提言によるカルバペネム系抗菌剤使用量と緑膿菌の薬剤感受性の情報提供
樗木 智聡和泉 裕一鴨志田 聡長峯 裕二伊師 嗣博
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2009 年 57 巻 5 号 p. 713-718

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抄録

 入院患者から分離される細菌のなかで,緑膿菌は重要な細菌の一つである。緑膿菌は,様々な抗菌剤に耐性を示すが,カルバペネム系抗菌剤は緑膿菌感染に有効な薬剤の一つである。これらの薬剤感受性を良好に保つことが,感染症治療の成績に影響すると考えられる。不適切な抗菌剤使用は,耐性緑膿菌増加の原因になると考え,2007年6月の感染症委員会において薬剤部から抗菌剤適正使用の必要性を訴えた。2007年1~6月と2007年7~12月のカルバペネム系抗菌剤使用量 (AUD: antimicrobial use density) と緑膿菌耐性化率について検討した。その結果,カルバペネム系抗菌剤のAUDと分離菌の耐性率共に減少が認められた。感染制御における薬剤師の業務としてAUDの調査は重要であり定期的に報告し,抗菌剤適正使用へ貢献していきたいと考える。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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