2009 年 58 巻 1 号 p. 21-25
2002年から2004年の3年間に愛知県知多厚生病院を受診したハチ刺症164例を対象とし,年次推移,月別分布,発生時間,受傷から来院までの時間,年齢,性別,刺傷部位,刺傷か所数,ハチの種類,症状,救急外来受診率等につき検討した。年次比較では2004年が83例と最も多く,月別受診患者数は特に6月から9月に多く,時間帯別では日中に多く認められた。受診者性別では男性が95例と全体の58%を占め,年齢別では50歳以上が多かった。刺症部位は手,上肢,顔面,下肢の順で,露出部に多かった。全身症状の出現した症例は7例で,全体の4%に認めた。全身症状の内訳は,蕁麻疹1例,動悸1例,嘔気2例,気分不快2例,アナフィラキシーショックが1例であった。当院のある知多半島南部では,農業などに従事する高齢者の被害が多く,また,2004年度は5月から6月の降水量が少ないためハチの繁殖に適しており,被害が多かったと考えられた。