日本農村医学会雑誌
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体外受精における検査科「培養室」としての診療支援
清水 敏夫金本 淳宮川 恭一武田 哲千賀 彩加佐近 普子加藤 清本道 隆明木村 薫
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2009 年 58 巻 1 号 p. 39-45

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抄録

 検査科「培養室」として,平成17年10月よりこれまで延べ900件を越える体外受精の胚移植時に,独自に「説明シート」を作成し患者に対面で説明を行なってきた。
 検査科で体外受精を担当することは診療支援そのものとも言えるが,培養室の立場から患者に直接接して状況を伝えることは,患者にとって不妊治療への理解が更に深まると思う。検査技師にとってもラボワークのみの担当に比べ,説明シートの作成に30分程度を要し,患者に対面することで煩わしいこともある。しかし,患者の顔を見ることにより,担当している業務への自信や責任と,成功率を高めるために研鑽を積む必要性を実感できた。
 患者からの質問に答えるには,それなりの知識と自施設のデータを把握しておく必要がある。患者が心配する胚の質,奇形児などの質問に対して,スタッフ間で情報を共有し,的確に答えることが求められる。また,体外受精の頻回実施にもかかわらず成功しない患者や40歳代後半の患者への説明など,対応に苦慮するケースもある。毎回同じ説明をするだけでなく,成功率を高める方策を積極的に実施して,説明に追加することが必要と思われる。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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