日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
報告
ATPふき取り検査と手洗いチェッカーを用いた衛生教育の有効性
山田 千夏朱宮 哲明深見 沙織尾崎 隆男
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 58 巻 1 号 p. 46-49

詳細
抄録

 食中毒予防において,衛生的な手洗いは非常に重要である。当院栄養科職員33名の手の洗浄度を,ATPふき取り検査と手洗いチェッカーを用いて調査し,両検査を用いた衛生教育の有効性を検討した。
 ATPふき取り検査は2回行なった。1回目の検査では通常の手洗いを行なった後のATPを測定し,後日手洗い教育を行なった。2回目の検査は1回目の検査の約1週間後に行ない,衛生教育前後のATP測定値を比較検討した。測定値は,Aランク (合格),Bランク (注意),Cランク (不合格) に分けて評価した。手洗いの衛生教育には手洗いチェッカーを用いて手指の洗浄度を各自確認した。
 1回目の検査ではAランクの職員は58%であった。手洗いチェッカーによる衛生教育では,爪に関して64%の職員の手洗いが不十分であった。そこで爪の部分を手のひらに擦り合わせることによる手洗い教育を行なった。手洗い教育後の2回目の検査では,Aランクの職員数は91%に増加した。
 本取り組みからATPふき取り検査と手洗いチェッカーを用いた衛生教育は有効であると考えられた。今後も定期的に両検査を行ない,食中毒予防に努めたい。

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事
feedback
Top