抄録
新型インフルエンザの発生がみられ,世界保健機関が世界的な流行 (パンデミック) を宣言した。日本国内でも,新型インフルエンザ発生に伴い,一部で,大きな社会的影響が生じ,経済的損失の発生がみられた。今後,愛知県下の農協等の役職員の中からも新型インフルエンザに罹患するものが生じる事が予想され,農協等の活動にも大きな影響が生じる恐れが考えられる。そこで,今回,日本政府の発表している被害想定をもとに,各種統計資料から愛知県下の農協役職員に生じると思われる職場コストを試算した。政府の想定の中では最も低い欠勤率20%の場合でも愛知県下の農協等で7.4億円の職場コストの増加が試算された。その結果,政府の想定の中で最大の欠勤率40%の場合では14.8億円の職場コストの増加が試算された。個々の農協では,一部で1億円を超える大きな職場コストの増加が試算された農協も見られた。これらのことから,あらかじめ,新型インフルエンザに対して十分な情報収集を行なった上で,適切な対策を行ない,影響を最小限にすることが,重要と考えられた。