日本農村医学会雑誌
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報告
当院でのがん告知率の現状と課題
——緩和ケア委員会の活動を通して——
渡邊 沙耶花谷畑 英一伊藤 晴子鶴見 昌子鈴木 三栄子桜井 理恵神田 尚子雨谷 なを江福岡 俊彦岡本 浩之
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2010 年 58 巻 5 号 p. 563-568

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抄録

 当院では平成12年より月1回緩和ケア委員会を開催している。委員会ではがん患者数,緩和ケア対象者数,鎮痛剤使用患者数,告知の有無などの実態調査を月毎に行ない,その内容を検討している。平成19年度のがん患者1,583名に対するがん告知率は88.4%であった。同年10月市民開放病院祭りで46名に対し無記名のアンケート調査を行ない,「正確な説明を受けたい」は95.7%であり,患者へのがん告知は本人の意向を反映するには至っていないと考えられた。がんの告知は本人への告知が基本であり,家族への説明には本人の了解を得る必要がある。下半期では患者の思いを汲み取り,心理・社会的背景を含めた情報収集を意識的に行ない,医療従事者間で共有したところ,告知率は92.6%に上昇した。アンケート調査による希望する人生最期の場所は自宅が60.9%と最も多く,在宅緩和ケアが必要とされているため,訪問看護ステーション,在宅療養支援診療所,居宅介護支援施設と協力連携し,緩和ケア提供体制を整備しなければならない。一般市民の緩和ケアや医療用麻薬に関する知識は必ずしも十分ではない事がわかったので,講演会など市民に対する情報提供が必要であると思われる。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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