日本農村医学会雑誌
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看護研究報告
山口県柳井市での3歳児集団健診における視能訓練士介入効果に関する検討
古賀 聖典南 慶子戸高 奈津美川本 晃司
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2010 年 59 巻 4 号 p. 518-523

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抄録

〔目的〕当院勤務の視能訓練士 (以下ORT) が山口県柳井市保健センターでの3歳児集団健診および当院小児科での3歳児健診に介入することによる視機能異常検出に対する有用性について検討を行なった。
〔対象と方法〕対象は平成21年7月から平成22年2月末までに柳井市保健センターで実施される3歳児集団健診と当院小児科で3歳児健診を行ないORTによる眼科健診を希望した48名の児とした。方法は,柳井市保健センターでの3歳児集団健診では当日保護者が提出した問診票を用いて,保健師が再度保護者へ児の眼についての詳細な問診を行ない,家庭にて視力検査ができなかった児および家庭での検査で視力が0.5未満であった児に対しては2.5mの視力検査を行なった。当院小児科で3歳児健診を受けた児に対しては,保護者の希望があればORTが小児科外来で2.5mでの視力検査,レフトラクトメーターによる屈折検査,眼位検査,両眼視機能検査を行なった。眼科的検査終了後,保護者へ3歳児眼科健診の意義や希望について,アンケートを実施した。
〔結果〕柳井市保健センターおよび当院での3歳児眼科健診を受診した3歳児のうち8人 (16.6%) が二次健診受診の対象となった。二次健診で眼科を受診した児の行なった検査では,遠視が3人,不同視弱視が1人であった。アンケートからは視機能検査の専門職であるORT介入による3歳児眼科健診に対して高い評価が得られ,約半数の保護者が家庭で行なう視力検査に不安を持っているという結果が得られた。
〔結論〕山口県柳井市における3歳児眼科健診にORTを介入させることにより,放置すると将来的に弱視へ至る可能性のある不同視弱視を検出することができた。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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