日本農村医学会雑誌
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民生委員を対象とした認知症ワークショッププログラムの開発
平川 仁尚
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2012 年 61 巻 2 号 p. 113-117

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抄録

 少子高齢化,核家族化などにより,高齢者世帯や高齢者独居の割合が増加している。高齢者,とりわけ認知症高齢者に地域で安心して暮らしてもらうための環境の整備のためのリソースとして,民生委員がいる。民生委員とは,地域住民の福祉向上のための相談,指導,調査などの自主的な活動や,福祉事務所などへの協力活動を行なう民間奉仕者である。民生委員には,認知症を正しく理解し,ソーシャルワーカーらと連携して早期発見から複雑な倫理的諸問題まで全人的な視点で高齢者の生活を支援する役割能力が求められる。そこで,今回,地域住民,特に民生委員向けの認知症教育プログラムの開発を行なうための第一歩となる民生委員の学習ニーズを明らかにし,それに基づいてプログラムを試作・実施した。プログラムの時間は2時間半で,各セッションは「ワークショップとは」,「認知症の予防法」,「対応に困った認知症の方や家族の方の経験」,「現場の苦悩~事例検討1」,「現場の苦悩~事例検討2」となった。参加者アンケート調査の結果では,ワークショップの全項目で概ね全体の90%以上が理解できたと回答した。参加者から高い評価を得たが,今回のプログラムを広く各地で実施し,ノウハウとデータの蓄積を行なう必要があると同時に,ファシリテーターの養成等を通じた一般化にも取り組む必要があると考えた。

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© 2012 一般社団法人 日本農村医学会
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