日本農村医学会雑誌
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報告
JA高知病院健診センター1日人間ドックにおける, 中高年男性受診者の生活習慣病関連項目の検討
小笠原 雪江黒岩 厚夫近藤 裕子岸野 達志中山 正宮地 香代福富 裕佳川村 富紀前田 宣男曽根 三郎
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キーワード: 生活習慣病, 総死亡率, BMI
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2013 年 61 巻 4 号 p. 611-617

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抄録

 JA高知病院健診センターではJA組合員や一般住民を対象に1日及び2日人間ドックを実施し,高知県の掲げる「日本一の健康長寿県構想」実現の一助となるよう生活習慣病やがんの早期発見・各疾患の指摘と生活指導・受診勧奨などの予防医療に努めている。高知県でも死因の第1位はがんであるが,本県の特徴として40歳代,50歳代の働き盛り世代の男性の総死亡率が全国平均を1割以上,上回ることが指摘されている。今回2009年4月から2010年3月迄の1年間に当院人間ドックを受診した男性1,826名を対象に血圧・肥満度・飲酒習慣,生活習慣病に関連する脂質・糖代謝・肝機能異常について検討した。
 高知県は高血圧症が全国15位,肥満率の高さは全国10位,1人当り酒類消費量は全国2位と報告され,アルコール関連肝疾患・心血管系疾患・がんなどの発症リスク増大が危惧される。当院の人間ドック受診者のこの年代該当者でも,高血圧や肥満,脂質・糖代謝異常などの異常が多く認められ,メタボリックシンドロームから生活習慣病の発症の背景となっていることが示唆された。自覚症状のない,人間ドックの受診者に対しても,これらの情報を提供し,より早期からの肥満防止や飲酒量の適正化などの保健指導,医療機関での精査・治療への導きなど継続的な指導を工夫しながら努めてゆきたい。

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© 2013 一般社団法人 日本農村医学会
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