日本農村医学会雑誌
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大規模地震災害に備えた地域透析体制構築へむけて
矢嶋 晃仁倉持 元
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2013 年 61 巻 5 号 p. 695-702

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抄録

 大規模地震災害における透析支援の基本原則は,患者移送の必要性を早急に把握し,災害拠点病院を中心軸とした被災施設の状況と患者対応能力に関する情報を円滑に収集できるシステムが完備していることである。さらにその外環地域にある透析施設とのネットワークも必要である。この連絡網を駆使して,短時間に実働性のある透析支援プログラムが作られることが求められる(輪状支援体制)。また,被災施設の一部のスタッフに過重な負担がかからないようにする支援スキームの構築も重要である。そのための具体的な方策として,1.患者の移送時間を最短にすること。2.支援施設での透析を含めた滞在時間を最短にする透析プログラムを作ること。3.災害時用に患者のカルテ作りおよび透析に必要なデータを限定してかつ共有化することがあげられる。透析施設の大規模地震災害に備えた地域防災体制作りでは,輪状支援体制を作ることが大規模災害を乗り切るには重要であり,多くの地域でも共通の防災システム作りが行なわれなければ有効に機能しない。さらに今後も大災害時の検証も加えながら,その時々で最良の地域災害対策フレームワークを作り上げていかねばならないと考えられる。

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© 2013 一般社団法人 日本農村医学会
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