日本農村医学会雑誌
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症例報告
亜急性期大腿骨近位部骨折患者に対するリハビリテーション実施単位数増加の効果
川端 悠士林 真美佐藤 里美澄川 泰弘河野 千晶小川 浩司
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2013 年 62 巻 2 号 p. 123-130

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抄録

 本研究の目的は亜急性期大腿骨近位部骨折例を対象としてリハビリ実施単位数増加の効果を明らかにすることである。  2010年11月~2012年3月の間に亜急性期病床入床となった大腿骨近位部骨折例95例のうち,合併症により転科となった5例を除く90例を対象とした。90例をリハビリ実施単位数増加前にリハビリを施行した22例 (前期群) と増加後にリハビリを施行した68例 (後期群) に分類した。これら2群間におけるリハビリ実施単位数,在院期間,退院時FIM,FIM効率,退院先といったアウトカムを比較した。  全例を対象とした比較では実施単位数は有意に増加したものの (p⁢0.001),在院期間,退院時FIM,FIM効率,退院先に有意な差を認めなかった。受傷前の障害老人の日常生活自立度別の比較ではランクA群で (p<0.05),入床時の認知症老人の日常生活自立度別の比較ではランクⅠ群で (p<0.05),前期群に比較して後期群のFIM効率が有意に高値であった。  受傷前からADL能力がやや低下している症例,および軽度認知機能低下例への集中的リハビリの導入が効果的であると考えられる。従来,認知症は大腿骨近位部骨折例のリハビリテーションの阻害因子の1つと考えられてきたが,軽度の認知症例においてはリハビリテーション実施単位数増加によりADLの改善が可能であることが示唆された。

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© 2013 一般社団法人 日本農村医学会
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