2015 年 63 巻 5 号 p. 780-786
胆管切除後のRoux-en-Y再建後, 再発により輸入脚に閉塞が生じた輸入脚症候群に対し, 経皮経腸ドレナージおよびバイパス術を行なった症例を経験したので報告する。症例1は75歳女性。肝門部胆管癌術後, 局所再発によるつりあげ空腸と十二指腸の通過障害に対し, 経皮経腸ドレナージを施行後, バイパス術を施行した。症例2は57歳男性。膵癌術後, 腹膜播種により輸入脚, 輸出脚, 終末回腸が狭窄, それぞれバイパス術を施行した。症例3は60歳女性, 胆嚢癌術後膵頭部局所再発により, 輸入脚が狭窄, 経皮経腸ドレナージを施行した。3例とも自宅復帰し, 4, 4, 2か月後に永眠された。終末期患者の消化管閉塞に対する外科的介入は適応やタイミングの判断が難しい。症例によっては手術が患者のQOLの向上に寄与し, 在宅期間の延長をはかれることから, 予後, 患者の状態を的確に判断し, 時には外科的介入も躊躇せずに行なうことが重要である。