抄録
〔目的〕本研究は当院で行なっているロコモティブシンドローム (以下:ロコモ) 予防教室の介入効果を検証することを目的とした。
〔対象〕2010年~2011年までに当教室に参加した参加者のうち60歳以上の者とし, 欠損データのある者を除外した34名 (平均年齢72.2±6.9歳, 男性3名, 女性31名) とした。
〔方法〕教室開始時と教室終了時, 教室終了後6か月後の追跡調査時の身体機能とロコモーションチェック, 運動習慣を比較した。身体機能評価項目は握力, 10m全力歩行速度, 下肢長比, つぎ足歩行, 30秒椅子立ち上がりテスト (以下:CS-30), Timed Up & Go Test, 開眼片脚立位時間の7項目とした。また, アンケートにてロコモーションチェックと運動習慣を聴取した。
〔結果〕教室開始時と教室終了時を比較すると, 握力以外の身体機能6項目で有意な向上が認められた。追跡調査時は教室開始時と比べ, 10m全力歩行速度, 下肢長比, CS-30が有意に向上していた。ロコモーションチェックの結果, 該当項目数の平均は, 教室開始時2.5個から教室終了時では1.7個と減少していた。さらに, 追跡調査時においても教室開始時と比べ減少していた。また, 運動習慣は, 教室開始時と追跡調査時を比較すると, 運動習慣が定着した人の割合が増加していた。
〔結論〕本研究の結果から, 当院におけるロコモ予防教室が身体機能向上と運動習慣定着に寄与しており, ロコモ予防に効果があることが示唆された。