日本農村医学会雑誌
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看護研究報告
眼科手術を受ける患者の確実な点眼手技の習得に向けた取り組み
生方 美恵子芳賀 智子
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キーワード: 自己点眼, 点眼手技, 高齢者
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2015 年 64 巻 1 号 p. 61-65

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抄録

 A病棟では, 患者の点眼状況の把握ができていなかったため, 点眼手技におけるアセスメントシートを作成し評価した。点眼手技の観察や白内障手術患者の入院時聞き取り調査により, 「点眼薬が1回で眼に入らない」, 「手と眼の距離が分からなく難しい」, などの課題が明らかになった。高齢者でもできる点眼手技として「げんこつ法」に着目し, 自己点眼手技の習得に成果がみられたため報告する。  65歳以上の眼科手術予定の28名を対象に入院時と退院時に自己点眼手技アセスメントシートを用いて, 「げんこつ法」指導実施前後で評価し集計, 比較した。項目の評価は「できる」を0点, 「できない」を1点として合計を出し, 点数が1点以上を「げんこつ法」指導対象とした。  確実な点眼ができていなかったのは, 点眼容器を持つ手が固定されず安定しなかったことが, 要因として考えられた。げんこつ点眼法指導前後でアセスメントシートの6項目すべてにおいて点数が下がり, 高齢者にとって簡便な手技であり, 点眼容器を持った手が安定したことで, 短期間に習得できる方法であったと考える。患者の状態をアセスメントし, 指導, 評価を繰り返しながら患者自身が退院後も自己点眼が継続してできるよう点眼手技を指導していくことが大切であると考える。

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© 2015 一般社団法人 日本農村医学会
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