日本農村医学会雑誌
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原著
採尿後の経過時間と温度が尿検査に及ぼす影響
仲谷 和彦柏倉 紀子黒木 悟遠藤 正志杉田 暁大
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2016 年 64 巻 5 号 p. 789-797

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抄録

 尿検査は, 概ね患者に苦痛を与えることなく検体採取が可能であり, 分析機器の発達により簡便かつ短時間で多くの情報を得ることができる検査である。  しかし, 保存状況で尿成分は変化しやすく, 採尿後速やかな検査実施が原則であるが, 入院患者の場合採取から検査実施まで数時間経過している場合がある。その背景には, 採尿時間が不規則なため, 速やかに検査室に提出されない現状に起因する。  そこで, 特定条件下で実際に患者尿を用い, 経時的変化・規則性について検討した。  さらに, 尿中に高頻度に検出される腸内細菌 (大腸菌・プロテウス菌) が尿糖に及ぼす影響と亜硝酸塩反応の変化についても検討したので報告する。  結果, 尿検査に影響するような生理的・病的成分を含有する尿ほど経時的変化は著明であった。保存が必要な時は, 蓋付容器で冷蔵保存が望ましい。また, 尿中の大腸菌とプロテウス菌では, 解糖作用・亜硝酸還元反応の経時的変化に大きな差が認められた。

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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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