日本農村医学会雑誌
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原著
過去5年間における一酸化炭素中毒のHBO療法について
中前 健二兵藤 好行南良 義和井上 宏隆沖島 正幸小川 正博近藤 浩史藤井 夕貴酒出 篤弥西山 和芳谷 亮太太田 委住川口 鎮
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2016 年 65 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

 急性一酸化炭素中毒(Acute carbon monoxide poisoning:CO中毒)に対する高気圧酸素(Hyperbaric oxygen:HBO)療法は,酸素療法や補助呼吸療法に引き続き行なわれる救急的治療法としての有用性が多々報告されている。今回,過去5年間における当院で行なわれたCO中毒患者のHBO療法の有効性について後ろ向きに検討した。対象は2008年1月から2013年11月末までに行なわれたCO中毒患者のHBO療法施行症例:23例とした。症例は男性:女性=14:9,年齢=54.6±20.8歳,原因は自殺企図:39.1%,不慮の事故:60.9%であった。HBO療法平均治療回数は5.4±6.8回,絶対気圧は2ATA:2.8ATA=12:11,当院直接搬送患者:他院からの間接搬送患者=15:8症例であった。退院時におけるHBO療法の有効性は73.9%であったが,CO中毒23例中3例において間歇型脳症が認められた。一方,CO暴露からの経過時間と各種パラメーターについては,当院搬送までに様々な要因がありCO暴露からの経過時間との間に一定の傾向は認められなかった。しかしながら,間歇型脳症予防にはCO暴露から治療開始時間が重要であり,HBOを有する施設での早期治療が必要であると示唆された。

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