日本農村医学会雑誌
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看護研究報告
当院外来化学療法における看護改善への取り組み
現状から見えてきた課題
紺野 裕美酒井 和子渡邊 寿代武内 こずえ岩瀬 富士子
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2016 年 65 巻 1 号 p. 103-108

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抄録

 当院先行研究において化学療法を受ける患者の思いを知り,看護に求められる課題の改善に取り組んできた。その取り組みの中,情報交換を重ねるにつれて看護師は患者への関わりが十分だったのか不安を感じていることを知った。それと同時に業務を行なう上での困難も抱えていることもわかった。そこでその不安や困難を明確にし,看護の質の向上を目指すために半構造化グループインタビューを行なった。化学療法担当看護師が抱えている様々な思いや困難として「患者・家族へのアプローチの戸惑い」「看護師の精神的負担」「抗がん剤取り扱いの不安」「人的環境の問題」の4つのカテゴリーが見出された。短時間の関わりの中で患者・家族に対し個別性のある看護が十分にできていないことに悩みを抱え,精神的な負担も大きいことも明らかになった。今後の課題として,緩和ケアなどの専門知識や技術を学び深めていくことが必要になってくる。また患者・家族の個々に応じた様々な角度からのアプローチが必要であり,他職種が協働するチーム医療を含めた環境作りも不可欠であることがわかった。

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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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