日本農村医学会雑誌
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症例報告
エリスロポエチン産生巨大子宮筋腫の1例
西田 慈子遠藤 誠一高木 香織塗師 由紀子中村 玲子尾臺 珠美服部 早苗市川 麻以子坂本 雅恵島袋 剛二永田 千草
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2016 年 65 巻 2 号 p. 244-249

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抄録

 肝臓癌や腎臓癌がエリスロポエチン(Erythropoietin ; EPO)産生腫瘍であることはよく知られているが,近年,巨大子宮筋腫もEPO産生性であることが報告されている。症例は59歳2回経産,49歳で閉経した女性。腹部膨満感と性器出血を主訴に当科受診。骨盤内に30×25cmの巨大子宮筋腫を認めた。術前の採血ではHb21g/dlと赤血球増多症を認め,またEPO38.5mIU/ml,E2 29.9pg/mlと高値であった。腹式単純子宮全摘術及び両側附属器摘出術を施行し,検体は4,740gの平滑筋腫であった。術後28日にHb15.1g/dl,EPO6.0mIU/ml,E2 5.8pg/mlへ低下した。EPO産生巨大子宮筋腫の半数は閉経後の症例であり,子宮筋腫組織内で産生されるエストラジオール(Estradiol ; E2)が閉経後の子宮筋腫の増大を促進し,EPO分泌刺激となっている可能性が示唆される。

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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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