日本農村医学会雑誌
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原著
入院関連機能障害(Hospitalization-Associated Disability:HAD)の現状と危険因子の検討
田邊 翔太矢野 彰三
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2017 年 65 巻 5 号 p. 924-931

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抄録

 中山間地域の中核病院におけるHAD 発症率とその危険因子を検討することを目的に公立邑智病院総合診療科の新規入院患者について入院時と退院時のADL を比較し,HAD発症率を調査した。また,入院時の栄養状態,認知機能,血液検査,介護認定の有無,在院期間を調査し,HAD 発症との関連を統計学的に解析した。
 その結果,53例中8 例(15%)にHAD 発症を認めた。HAD 発症例は有意に高齢で,入院時のADL・栄養状態・認知機能が低く,血清アルブミンが低値であった。多重ロジスティック回帰分析から,栄養状態と認知機能がHAD 発症の独立した危険因子であることが示された。また,HAD 発症群は全例が介護認定を受けていた。
 公立邑智病院におけるHAD 発症率は15%で,諸外国の既報に比して低値であった。認知機能と栄養状態は,年齢や入院前のADL と独立してHAD 発症の危険因子と考えられた。

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© 2017 一般社団法人 日本農村医学会
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