日本農村医学会雑誌
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原著
採血室における手指衛生徹底への取り組み
杉浦 康行澤田 和久奥平 正美稲富 里絵巽 則雄磯部 貴子岡村 武彦
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2017 年 65 巻 5 号 p. 946-955

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抄録

 手指衛生は感染対策の基本である。外来採血室においては,短時間で多くの患者に対応しなければならず,手指衛生に要する時間を十分確保できていない現状にある。そこで時間的制約がある中で,効率的な手指衛生を行なうことについて検討した。1 .危険+予知+トレーニング(Kiken Yochi Training : KYT)を用いた採血手順の作成。各工程を写真で切り取り,その写真の場面中に含まれる危険を予知する。普段は気づかなかった危険を認識し対策を立てることで問題点を提起する。2 .勉強会を開催し,解決方法を周知する。3 .手袋を外す場所と手指衛生を行なう場所を1 か所に集約し,手指衛生のタイミングを統一する。4 .手指衛生遵守の指標として速乾性手指消毒薬使用量を比較検証する。採血手順における清潔・不潔区域の認識および手順の統一化により,効率的な手指衛生の実践が可能となった。外来採血室の現場では時間的制約等から, 1 患者1 手袋および手指衛生の徹底は困難な場合も多い。適切な手指衛生のタイミングを統一することで,採血時間の延長を許容範囲内にとどめ,効果的な感染対策を実施することが可能となった。

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© 2017 一般社団法人 日本農村医学会
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