日本農村医学会雑誌
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原著
好酸球性副鼻腔炎のCT 画像スコアに関する研究
打田 武史祢津 宏昭原 敏浩堂坂 善弘
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2017 年 65 巻 5 号 p. 956-962

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抄録

 本邦では近年,難治性・再発性である好酸球性副鼻腔炎が増加傾向にある。この疾患では従来の副鼻腔炎に対して用いられるマクロライド療法はほぼ無効であり,ステロイドの投与や外科的治療を導入しないと改善は望めない。好酸球性副鼻腔炎を迅速に診断し治療方針を決定するために,我々は副鼻腔CT 画像をスコアリングする事で,好酸球の関与を予測する事を目的として本研究を行なった。対象は2011~2012年の2 年間に内視鏡下鼻副鼻腔手術を行なった105名(両側63名,片側42名)の計168側である。平均年齢は56歳であり病悩期間は平均43か月であった。術前診断で真菌性副鼻腔炎は9 名,好酸球性副鼻腔炎は14名であり,術後診断では真菌性副鼻腔炎は10名,好酸球性副鼻腔炎は14名であった。画像の数値化にはLund-Mackay のCT 画像スコアリングシステムを用いた。病態別のCT 画像スコアは慢性副鼻腔炎では5.8,真菌性副鼻腔炎は4.6,好酸球性副鼻腔炎は9.4であった。部位別では,上顎洞は真菌性副鼻腔炎で最も高い平均スコアとなり,篩骨洞と蝶形洞および前頭洞は好酸球性副鼻腔炎で高いスコアを示した。これらの結果から,好酸球性副鼻腔炎は他の病態と比べてCT 画像スコアが異なる傾向を示す事が明らかになった。そこで,手術で得られた検体を好酸球浸潤の程度で4 段階に分類したところ,好酸球浸潤が強い症例ほどCT 画像スコアが有意に高くなる傾向が認められた。この事から,CT 画像スコアリングによって副鼻腔病変を定量化することで,好酸球の関与を予測する事が可能と考えられた

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