日本農村医学会雑誌
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研究報告
筋萎縮性側索硬化症患者の予定外入院から退院までの状況と支援課題
中川 裕牛久保 美津子
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2017 年 65 巻 5 号 p. 969-975

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抄録

 予定外入院した在宅ALS 患者が退院するまでの状況を明らかにし,退院支援課題を検討することを目的とした。200X 年10月からの3 年間に1 神経内科病棟に予定外入院した患者のうち,死亡退院を除く,自宅退院患者4 名と転院患者8 名を対象にした診療録調査を行った。自宅退院した全患者は,退院時ADL が入院前と変化がなかった。また予定外入院前から在宅療養支援体制が整備されていた。転院患者は,予定外入院後に全員がNPPV による初期治療を受け,入院から平均31日を要して治療方針や療養場所の意思決定を行い, 3 名がTPPV, 2 名が気管切開(人工呼吸療法なし)に移行し,その後転院していた。意思決定過程では,患者・家族の意見の相違が4 名のケースでみられ,意思統一に時間を要した。転院先決定のために病院に問い合わせをした件数は1 から6 件であった。平均在院日数は77日であった。退院支援課題として,①患者と家族の「病気の特性と病状悪化の変容」の状態を把握し,呼吸処置の意思決定支援を計画的かつ早期から行なう必要があり,そのためには呼吸不全に対する支援技術の向上と院内外支援者による連携が重要であること,②急性期治療後の医療機関から,患者がスムーズに自宅,療養型医療機関,施設へ移行できるよう,地域の医療介護支援体制の強化が示唆された。

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© 2017 一般社団法人 日本農村医学会
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