日本農村医学会雑誌
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研究報告
ロコモティブシンドローム予防教室の取り組み
── トレーニングの定着を目指して──
幡野 真妃都築 千恵子渋谷 明千坂 こずえ天野 早紀野依 美穂山野 佳子酒井 奈々子山田 晴生
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2017 年 65 巻 5 号 p. 984-993

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抄録

 運動機能の向上に筋力トレーニングが効果的であることが示されている一方で,開始後3 ~ 6 か月以内に運動をやめてしまう人が多いことも報告されている。そこで,当教室ではトレーニング(日本整形外科学会のロコモーショントレーニング及び独自に開発したロコモ予防のトレーニング,以下:ロコトレ)の定着を目指した。対象は2014年に開講した教室参加者30名である。教室は同窓会まで含めて全9 回であり,ロコトレの重要性と効果を多方面から繰り返し伝えるとともに,参加者には毎日ロコトレ実施記録を記入してもらった。また,ロコトレの効果を実感してもらうために毎回の教室では開眼片脚立ちのタイムを測定した。その結果,ロコトレを「週に2 ~ 3 日以上実施している人」の割合は終了時90%,同窓会で83%であった。「膝の痛みが和らいだ」「長靴を片足立ちで履けるようになった」などの身体の変化が現れ,教室前後に実施した体力測定では,TUG・30秒椅子立ち上がりテスト・開眼片脚立ちの3 種目で有意に改善がみられ,ロコモ度テストの結果,「ロコモになる可能性が高い」と判定された人数も減少した。以上のことから,講義による動機づけ・実施記録による意識づけ・開眼片脚立ちタイム測定によるロコトレ効果の実感というサイクルを設定したこことがロコトレの継続につながるとともに,ロコトレを継続することで運動機能の向上を図ることができたのではないかと考えられた。

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© 2017 一般社団法人 日本農村医学会
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