日本農村医学会雑誌
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原著
農村地区居住高齢者の膝関節痛の捉え方と意味
── 膝関節痛が慢性化した時期に着目して──
中野 理恵横田 素美
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2017 年 65 巻 6 号 p. 1168-1176

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抄録

 本研究は,農村地区に居住する高齢者に対して,膝関節痛が慢性化した時期の膝関節痛の捉え方,意味,それらに影響を与える要因を明らかにし看護の示唆を得ることを目的とした。
 農村地区に居住し,膝関節痛を1 年以上抱えた高齢者14名を対象に,半構成的面接を実施し質的帰納的に分析した。対象者は,老人クラブ連合会参加者,内科系開業医通院者より募った。
 農村地区に居住する高齢者の膝関節痛の捉え方には,医療の必要性から測る捉え方,生活との関係における捉え方,膝関節痛を抱えた自分に関する捉え方という特徴が示された。膝関節痛の意味は『人生の残り時間を意識させるもの』,『人生の中で本意ではないもの』,『自分の人生を頑張った証』であった。膝関節痛の捉え方や意味には【排泄に関する動作に支障がない状況】等が影響を与えていた。
 看護専門職は,高齢者の自己対処が適切に行なえるように支援すること,【排泄に関する動作に支障がない状況】を担保することが重要である。また,看護職者は膝関節痛の症状や動作への支援に加え,高齢者に膝関節痛を抱えた体験を積極的に語ってもらい,高齢者個々の膝関節痛の捉え方や意味を考えながらその段階において必要とされる看護を見極め,提供する必要がある。

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© 2016 一般社団法人 日本農村医学会
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