日本農村医学会雑誌
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原著
婦人科腹腔鏡手術後の手の痺れに対する両上腕中間位の予防効果
島袋 剛二中村 玲子尾臺 珠美吉田 卓功塚田 貴史塗師 由紀子萬年山 悠郡 詩織西田 慈子北野 理絵市川 麻以子遠藤 誠一坂本 雅恵
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2017 年 66 巻 1 号 p. 21-26

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抄録

 右上腕外転位と両上腕中間位における婦人科腹腔鏡手術後の手の痺れの発生について後方視的に検討した。  左上腕は体幹に沿わせた中間位とし,右上腕は90度未満に外転した右上腕外転位での症例93例中,術後の右手の痺れが6 例(6.5%)にみられた。痺れの持続期間は術後1 日目まで4 例,21日目まで1 例,35日目までが1 例あった。両上腕を体幹に沿わせた両上腕中間位81例中,手の痺れは皆無であった。しかし,両上腕中間位後に導入した肩当て支持器の使用が原因と考えられる肩痛を4 例(4.9%)に認めた。肩痛の持続は術後1 日目まで2 例, 2 日目まで1 例, 3 日目までが1 例あった。肩当て支持器を使用しない右上腕外転位での肩痛の発生は皆無であった。  腹腔鏡手術後の手の痺れの回避には両上腕中間位が有効であるが,新たに発生した肩痛への対策が今後の課題である。

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© 2017 一般社団法人 日本農村医学会
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