日本農村医学会雑誌
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原著
療養病床に勤務する看護職の職務関与の構造分析
木内 千晶
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2017 年 66 巻 1 号 p. 9-20

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抄録

 高齢者医療制度はさまざまな変革を遂げ今日の療養病床再編に行き着いている。入院患者の高齢化や重度化などにより療養病床の看護職への負担が増える中,高齢者看護の質を向上するためには,療養病床に勤務する看護職が疲弊せずモチベーションをもち働ける環境をマネジメントすることが必要である。そこで,ワークモチベーションの概念の中でも職務への意欲や態度を表す職務関与に着目し,職務関与因果モデルを構築し療養病床に勤務する看護職の職務関与の影響要因を明らかにすることを研究目的とした。  岩手県内の療養病床に勤務する看護職に質問紙調査を実施し257名(有効回答率45.1%)の女性看護職を分析対象とした。調査には,職務関与測定尺度(義村),JDS(Job Di agnos tic Survey)尺度(Hackman & Oldham),職務満足の質問項目(Stamps, Herzberg を参考に新たに作成)を使用した。共分散構造分析により職務関与の影響要因を内発的動機づけ,外発的動機づけという視点から検討した。その結果,内発的動機づけである職務特性の影響が大きいことが明らかになった。その中で影響が高かった要因はフィードバックであり,影響が低かった要因は自律性であった。療養病床の看護職の職務関与に働きかける看護管理方法として,自分の仕事の成果を認識できるフィードバックを促進することが有効であると示唆された。

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© 2017 一般社団法人 日本農村医学会
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