日本農村医学会雑誌
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症例報告
術前腹部超音波検査消化管系統的走査にて発見された胃・大腸重複癌の1例
高木 理光橋本 英久中村 有美三輪 正治今井 信輔
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2018 年 66 巻 6 号 p. 718-

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抄録

 1年ほど前からの食欲低下と,体重減少,1か月前からの固形物摂取後の嘔吐,全身倦怠感を主訴として,当院内科を受診した60代男性で,上部内視鏡検査に加えて,腹部超音波検査による消化管の系統的走査により,胃角部の胃癌に加えて,横行結腸の腫瘍を術前に検出した症例を経験した。著明な貧血を認め同日入院となった。入院時上部消化管内視鏡検査にて胃癌が疑われ術前検査にて腹部超音波検査が施行された。消化管を系統的走査したところ胃角部に癌と思われる限局性の壁肥厚像を,横行結腸にも異常壁肥厚像を認め横行結腸癌を疑った。後日,下部消化管内視鏡検査にて横行結腸に2型病変を認めた。胃・大腸の重複癌であった。腹腔鏡下にて切除術が施行され,病理所見は胃角部低分化腺癌および横行結腸中分化型管状腺癌であった。腹部超音波検査において消化管を系統的に走査することで病変の見落としを防ぐことが出来た。また消化管の系統的走査は,1つの病変に目を奪われることなく他病変にも目を配ることができ検査精度の向上につながると考えられる。

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