日本農村医学会雑誌
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症例報告
肝膿瘍を合併したS状結腸癌の1例
洞口 正志林 健次郎布施川 一樹石井 大介茂木 はるか滝戸 成人小笠原 弘之川原田 康久保田 洋介榎本 好恭平山 克洞口 愛齊藤 研
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キーワード: 肝膿瘍, 大腸癌, PTAD
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2020 年 68 巻 5 号 p. 648-

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抄録

 症例は70歳,男性,約1か月持続する下痢を主訴に近医を受診し,整腸剤,抗生剤治療を受けたが全身の浮腫も続発し当院に紹介された。腹部超音波検査と造影CTから大腸癌,肝転移の疑いで入院加療した。下部消化管内視鏡検査でS状結腸に全周性の病変を認め,生検組織で腺癌と診断された。肝転移あるいは肝膿瘍を伴ったS状結腸癌と診断し,S状結腸切除と肝病変一括切除を考慮したが,同時切除は負担が大きいと判断し,S状結腸切除を先行する方針とした。しかし,間歇的な発熱は増悪し,再度施行したCTから肝病変は肝膿瘍を強く疑う所見と診断し,経皮的肝膿瘍穿刺ドレナージ(PTAD)を行なった。3日後S状結腸切除を行なった。術後,肝膿瘍は徐々に縮小した。術後5年間無再発,無再燃であった。肝膿瘍を合併したS状結腸癌の1例を経験したので報告する。

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© 2020 一般社団法人 日本農村医学会
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