抄録
一側乳房内に同時性に組織型の異なる乳癌が独立して存在する多発乳癌は稀ではないが,同一腫瘍内に異なる組織型が混在する乳癌は,発生頻度の明確な報告はないが比較的稀なものとして報告されている。今回,浸潤性乳管癌と非浸潤性小葉癌が混在した乳癌の1例を経験したため報告する。症例は81歳,女性。健診マンモグラフィで要精査となり,当院を受診。超音波検査で右A領域に10mm大の腫瘤を認め,針生検で浸潤性乳管癌の診断となった。StageⅠ乳癌の診断で,右乳房部分切除術,センチネルリンパ節生検を施行した。病理組織学的所見で,同一病変内に浸潤性乳管癌と,非浸潤性小葉癌を認め,E-cadherin染色で前者は陽性,後者は陰性を示したため,両者の混在癌と診断した。サブタイプは両部位ともER陽性,PgR陽性,HER2陰性であった。術後放射線療法を行ない,現在ホルモン療法を継続し2年経過したが,無再発生存中である。