日本農村医学会雑誌
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Dithiocarbamate系殺菌剤による皮膚障害に関する疫学的研究
有松 徳樹松下 敏夫野村 茂
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1976 年 25 巻 1 号 p. 28-33

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抄録

Dithiocarbamate系殺菌剤 “Maneb, Manzeb (Mancozeb)”によって多くの農業従事者の間に皮膚障害の多発をみたので, 熊本県下の3地域のみかん果樹園における農作業従事者について疫学的調査を実施したので, 症例とともに報告する。これら殺菌剤による皮膚障害の発症率は3地域においてそれぞれ27.6%(39/92), 43.3%(113/261), 27.6%(42/151) で, この接触皮膚炎の好発部位は顔面, 手, 首など, 露出部位が主であるが, 胸部, 背部, 腹部, 大腿部などの被覆部位もしばしば犯される。また, 発症と関係のある農作業は農薬散布, 摘果, 除草等の順であった。また本障害は従事者の多い40才代の農業従事者に多くみられた。農業従事者の血液検査, 肝機能検査, 尿検査などにおいては特別な所見は認めなかった。40名の農業従事者に行なったDithiocarbamate “Maneb”によるPatch Testの陽性率は0.1%水溶液で18%, 0.05%水溶液で23%, 0.025%水溶液で15%であった。
本症例の臨床的観察, 疫学的調査ならびにPatch testの成績から本殺菌剤による皮膚障害は, アレルギー性接触皮膚炎であろうと考えた。

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