日本農村医学会雑誌
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有機燐剤の生体内残留に関する実験的研究
浅沼 信治鈴木 彰黒沢 和雄阿部 栄四郎佐々木 喜一郎
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1978 年 27 巻 4 号 p. 772-781

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抄録

1. スミチオン, ホスベルの生体内残留に関する分析法は, ほぼ満足できるものである。
2. スミチオンをラットに300mg/kg1回強制経口投与した結果, 血液および脳, 肝, 腎とも1日目に最高値を示し, 2日目以降急激な減少を示し, 10日目ではいずれも検出されなかった。ChE活性値は残留のピークよりやや遅れ, 2日目に最低となり回復に時間を要した。
3. スミチオンをサルに2mg/kg1回強制経口投与し, 経時的に血液中残留量を追跡した。残留, ChE活性値のパターンはラットと同様であり, 尿中代謝物は残留と相関した。また, 1mg/kg, 2mg/kg, 4mg/kg/w投与しているサル, およびビーグル犬の15カ月を経過した時点では, 著明な変化は認められていない。
4. ホスベルがニワトリに遅発性神経障害を惹起させているというAbou-Doniaら, 木根渕らの報告から, 哺乳動物への影響を観察した。ラットに5mg/kg, 10mg/kg, 15mg/kg, 20mg/kg1回強制経口投与し, 5日, 10日, 20日, 40日目に解剖し, 脂肪組織中への残留をみた。スミチオンと比較し, 長期間脂肪中に蓄積され, 20日目においても検出された。しかし, ニワトリにみられたような遅発性神経障害は認められなかった。

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