日本農村医学会雑誌
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スミチオンの微量投与による慢性毒性試験
阿部 栄四郎佐々木 喜一郎黒沢 和雄浅沼 信治鈴木 彰桜井 賢彦松島 松翠中野 竹二川原 一祐
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1984 年 33 巻 2 号 p. 183-189

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抄録

アカゲザルとビーグル犬を用いて, 有機燐殺虫剤スミチオンの長期微量投与実験を行ない, 8年を経過した。今回は6年目から8年目までについて報告した。
この3年の間にサルが2頭, イヌが1頭死亡した。生存している動物にはこの3年間にも薬物投与によるとおもわれるような変化や徴候はみられなかった。サルもイヌも体重および血液検査はとくに変化は認められていない。しかし血清生化学的検査のうちGPT, LDH, 血清及び血球CHEについて, 7年目の時点でとくに統計的考察を試みたところ, 各個体の変動の累和において有意の差がみられた。
また死亡動物の病理組織学的検索では, 肝の肝細胞の変性, 脱落再生, 動眼筋組織間質の浮腫, 脊髄神経, 動眼筋神経線維の浮腫, リンパ節の萎縮など, スミオチン投与によるとおもわれる影響が認められた。

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