日本農村医学会雑誌
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当院における胆道悪性腫瘍手術例の検討
白倉 外茂夫越知 富夫寺島 英一
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1986 年 35 巻 1 号 p. 80-90

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抄録

対象人口約12,000人の当院で6年9ヵ月間に27例の胆道悪性疾患手術例を経験した。その内訳は胆嚢癌16例, 胆管癌9例, 胆嚢肉腫1例, 胃癌胆嚢転移1例である。
年令は平均70.0才, 男女比は胆嚢癌では1対2.2, 胆管癌では5対4であった。
診断法ではOC, DICは癌の確診を得られず, PTC, ERCPは診断率が高い。USは胆嚢早期癌2例を診断でき, 他の例でも重要な異常所見を得ることができた。
術前に胆嚢癌と診断した5例では1例切除できたにすぎず, 術中に癌と判明した5例は全て切除不能進行癌であつた。術後の精査で癌と6例が診断されたが, その中5例が1年7か月から7年健在である。
胆管癌は全例黄疸を呈し, PTC, ERCPにて8例が癌による閉塞性黄疸と診断した。手術は7例が切除でき, 5例が7か月から5年11か月健在で, 3例は胆嚢・膵臓に浸潤を有するstage IIIであるが3年以上健在である。
以上の結果をふまえ, われわれは高令者の多い当地域においてUSによる肝胆膵集団検診を始あ, 2年間に胃癌肝転移1例, 胆石症19例, 胆嚢ポリープ4例を発見した。
なお早期胆嚢癌超微形態像では, 癌細胞は比較的均一で杯細胞, Paneth細胞に似る細胞はほとんど無く, 基底膜に囲まれている。細胞内小器管・分泌穎粒は良く発達し, 特にゴルジ装置は著明で, GERLも明らかに認められた。

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