日本農村医学会雑誌
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農村地域におけるプライマリ・ヘルスケアについて
内田 昭夫岩崎 二郎
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1987 年 36 巻 2 号 p. 85-95

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抄録

静岡県2山村 (人口約8,600人, 約5,400人) と千葉県2農漁村 (人口約12,700人, 約7,100人) を対象に, プライマリー・ヘルスケア (PHC) に関する調査を行なった。
調査4町は, 老年人口比率17%以上で粗死亡率は高く, 人口自然増加率はマイナスである。乳児死亡率や死産率は低い。死因としては悪性新生物, 脳血管疾患, 心疾患が高く, 肺炎, 不慮の事故, 自殺の死亡率も全国平均を上回る。国民健康保険の歳入・歳出は全国平均より低く, 入院では精神疾患, 循環器疾患, 外来では循環器疾患が圧倒的に多い。町内医療機関は不十分で, 町外医療の利用が多く, 入院では75%以上と高い。一山村では一般予算からの病院繰入れがきわめて多額で, 町財政の問題となっている。健康教育, 保健組織活動としては, 栄養指導や高血圧教室の開催がある。健康診断受診率は結核・乳幼児健診受診率はきわめて高いが, 癌・循環器健診は20%前後であった。
かかりつけ医師は中高年層では多いが, 若年層では低く, 家庭医としての機能すなわち, 全人的医療, 日常の健康管理・相談, 専門医への紹介, 往診等の機能は低い。しかし, 病気の説明は, かかりつけ医が高く, 医師と患者の信頼関係がみられ, PHCの確立にはかかせぬ存在といえる。
また, 高令化社会である農村では, 健康教育, 家庭訪問, 家庭看護等保健婦の役割りはますます増大する。ヘルスマンパワーの充足が望まれる。

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