日本農村医学会雑誌
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農村地域におけるプライマリ・ヘルスケアの確立に関する研究
とくに組織的な取組み態勢について
松島 松翠横山 孝子朝田 捷飯島 郁夫佐々木 徳子黒沢 和雄宮沢 昭一岡村 吾郎
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1987 年 36 巻 2 号 p. 96-105

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抄録

長野県下の農協 (117農協) と市町村 (121市町村) を対象とし, アンケートおよびインタビュー調査により, 健康管理活動における組織的な取組み態勢について調査を行なった。結果は以下のごとくである。
1. 健康管理活動にこおける農協と市町村との連携は徐々に進んでおり, 49.6%が検診を共同企画・共同運営で取組んでいる。共同企画で行なう効果は, 検診受診率に現われ, 全県の平均受診率22%に対し, 共同企画のところの受診率は48.8%と高い。また両者の連携は, 検診後の事後指導や検診以外の健康生活面での活動推進定も大いに役立っている。
2. 地域の健康管理担当者の連携状況については, 何らかの連携があるところは87.2%にみられたが, 1~3か月に1回定期的に担当者連絡会を開いて協議しているところは, 24.8%であった。担当者連絡会の定期的取組みにより, 地域の関係機関の相互の連携がよくなり、検診受診率の向上や地域の健康生活上の取組み態勢の進展がみられた。
3. 地域の健康管理組織における住民参加の状況については, まず農協健康管理推進協議会には, 婦人部, 青年部, 生産部会の代表が参加しているが, このうち婦人部がもっとも多く参加率55.4%であった。他方, 市町村健康づくり推進協議会に農協の代表が参加しているところは67.8%にみられた。協議会を真にご住民のものにこしていくためには, もっと組合員代表や住民代表がこの中に加わらなくてはならない。

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