日本農村医学会雑誌
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農作業事故の発生率に関する研究
三廻部 真己
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1988 年 37 巻 1 号 p. 32-37

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抄録

神奈川県下労災保険加入農家の農機事故発生年千人率は15.2であった。これに対し, 県下他産業の業種別平均の千人率は5.5であり, 農作業の方が約3倍も事故発生率が高く, 農機運転作業はきわめて危険な作業であることが判明した。
農作業事故の発生率が高い原因を, 農作業環境の面から検討すると, 農作業現場が傾斜地や段々畑, 狭い農道などきわめて不安全状態にあり, 潜在事故要因の災害ポテンシャル (Accident Potential) によって, 農作業事故は起こるべくして起きている。
一方, 就農者の人の側から事故原因を検討すると (1) 高令化による身体機能の低下による事故,(2) 同じく健康障害にともなう不快感からくる事故,(3) 兼業化による土, 日曜日への集中化による事故,(4) “1人作業” による安全管理の欠陥による事故,(5) 営農危機等の心労からくる事故など不安全行動による事故と原因を二つに分けることができる。
これらの事故原因は, いずれも農業構造上のウイーク・ポイント (Weak Point) から発生している。したがって, 農業は構造危険業種であるということができる。

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