日本農村医学会雑誌
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エノキタケ栽培による外傷について
中村 元信安冨 義哲内沼 栄樹塩谷 信幸
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1989 年 37 巻 5 号 p. 965-969

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抄録

長野県中野市はエノキタケの生産農家が全世帯の7.5%であり, 地域農業として定着している。また, 昭和62年の生産量は1,400トンにものぼり全国シェアの20%を占める。栽培には多種多様の機械を使用するため, 不慮の事故に遭遇する機会が多い。今回私達はエノキタケ栽培の過程で発生した災害に関し, 昭和54年から昭和62年に当院を受診した被災者につき調査集計を加えた。そして以下の結果を得た。1. 全農業事故者の内エノキタケ災害者が占める割合は約40%であった。2. エノキタケ災害の原因別分類では詰め機が多く全体の約40%を占めた。3. 年令別分類では40才代50才代の受傷者が多く, 男女差はなかった。4. 月別分類では夏季が少なく冬季に多かった。5. 受傷部位は手が90%を占めそのうち右手が65%を占めた。以上につき農業災害の地域特異性を含め文献的考察を加え報告した。

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