日本農村医学会雑誌
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秋田県の一農村における胆石症の最近の傾向に関する検討
肉眼形態と赤外線吸収スペクトルによる胆石の分類を中心として
鈴木 彰藤原 光吉岡 浩
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1990 年 39 巻 1 号 p. 23-27

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抄録

農村における胆石症の最近の傾向を明らかにする目的で肉眼形態と赤外線吸収スペクトルにより胆石の分類を行なった。152例, 161種の胆石を対象とした。平均年令は61.5才であったが65才以上が全体の46%と半数近くを占めた。男女比は1対1.9であった。胆石の種類別頻度はコ系石が50.9%, 色素系石が40.4%(黒色石7.5%, ビ石灰石32.9%) および稀石が8.7%であった。性別にみると, 女性ではコ系石が, また男性では色素系石がそれぞれ過半数を占めた。年令別では64才以下の若壮年者にコ系石の割合が多かったのに対し, 65才以上の高令者では逆にビ石灰石の頻度が著しく高かった。以上の成績より今回コ系石の頻度は都市部に比べ低率であったが, その主たる原因として高令者胆石の割合が高いことが推定された。また, 農村において黒色石は都市部ほど増加している傾向は認めなかった。

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